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医師が転科を考える際には自分の年齢を考慮しよう
転職とは少し異なる概念ですが、医師には診療科目を変更する“転科”という選択肢があります。
勤める医療機関を転科により変更すればそれは転職の一部となりますが、同じ病院内で受け持つ診療科目のみを変更することもあるでしょう。
いずれにしても働く環境が変わるため、慎重な決断が求められます。
医師免許を有していればどの診療科目も担当できるため、年齢による制限は基本的にはありませんが、全く無視するわけにもいきません。
習得するまでに時間を要する技術や知識の必要な科目への転科の場合、50代や60代になってからではさすがに遅過ぎます。
できる限り若いうちに転科した方が有利であることは間違いありません。
ただ、「この分野は自分には向いていないのではないか」と感じる機会は若いうちから頻繁に訪れ、自身を疑う場面も少なからずあるでしょう。
しかし、転科すればそれが全て解決するとも限りません。
あまりにも若いうちでの転科は逆に医師としての基礎的な知識や技術の習得を放棄することになりかねないため、30代から40代あたりが、転科に適正な年齢と考えることができるのではないでしょうか。
転科の際の注意点
転科には複数の注意すべき点があります。
それを無視した転科は後悔へと繋がるケースも出てくるため、最低限の注意点に関しては押さえつつ検討する必要が出てきます。
年下の医師に指導される立場になる
以上の2つを転科の際の注意点として、以下でさらに掘り下げていきましょう。
科目によっては収入が下がる場合もある
これまで積み上げてきたキャリアがそのまま生かされる科目へ移るのであればさほど心配は要りませんが、科目によっては現在よりも収入が下がる可能性が出てきます。
転科の医師を受け入れた病院や診療所などであっても、その分野や領域に関する知識やスキルのない医師に多くの報酬を与えることは通常しません。
研修医時代のような年収にまで下がることはありませんが、現在よりも上がるケースは稀であると考えておくべきでしょう。
特に、特殊な専門知識及び技術が必須となる分野への転科であれば、また下積みのような日々が待っており、その間は収入額にこだわることは難しくなるはずです。
もし家族などがいる場合には家族間でコミュニケーションを図りながら、後々トラブルなどに発展しないよう配慮し、転科を決断すべきです。
年下の医師に指導される立場になる
新しい分野へと飛び込むと、そこにはすでに若い頃から勉強を重ね技術を磨いてきた医師がいるはずです。
これもケースバイケースではありますが、転科によって年下の医師に指導される立場となる医師も出てくるでしょう。
同病院内での転科であれば、入職時期の早い医師が先輩にはなるので敬語で指導を受けることになるであろうものの、それでも年下の医師から指示を受け、時にはミスを指摘されるなどすることは覚悟しておくべきです。
勤める病院を転科とともに変更するケースでは、入職時期も転職先の病院に勤める医師の方が早いため、年下の医師から敬語を使わずに指導及び指示されるケースも考えられるでしょう。
年下の医師からの指導や指示に納得できないほど高いプライドを持っている医師は、転科に向いていないかもしれません。
”そのプライドを抑えることができるか?”ここが一つ転科の決断のポイントになってきそうです。
開業を考えている場合幅広い知識が増えるメリットもある
転科することで、これまで学んできたこととは別の分野・領域に関しても学ぶことができます。
ある程度の年齢になると新たに学ぶことには大変な部分も出てきますが、ポジティブに考えれば、それは知識やスキルの幅を広げられるということでもあります。
例えば、将来的には開業し自らの医院を経営したいと考える医師にとってみれば、これは大きなアドバンテージとなるはずです。
クリニックなどを開業する際、それぞれ診療科目を自由に標榜することができますが、転科により新たな分野について学ぶことで、この診療科目を増やすことができるわけです。
そのぶん患者の囲い込みもしやすくなり、経営者にとって最も重要な利益も上げやすくなるでしょう。
地域の住民にとっても、幅広い知識を有している医師ほど頼りになる存在はありません。
キャリアプランを考えたとき、このメリットが必要だと感じれば、転科する価値がより一層増すのではないでしょうか。
転科しやすい科目一覧
転科に向く診療科目と、向かない科目があります。
ここでは、転科しやすい科目について触れていくことにします。
最も転科に向いているのは、内科です。
内科へ転科しやすい理由
あらゆる科目の知識を生かすことが可能
内科医は慢性的な不足状態のためニーズが高い
リハビリテーション科への転科も比較的しやすい傾向があります。
リハビリテーション科へ転科しやすい理由
技術よりも知識が優先されるため習得しやすい
募集している医療機関が多い
皮膚科も転科しやすいと言われている診療科目の一つです。
皮膚科へ転科しやすい理由
習得が困難なスキルが比較的少ない
皮膚科医のニーズが増えてきている
合う合わないはありますが、比較的転科しやすい科目にも目を向けつつ、今後のキャリアを検討することも重要かもしれません。